仁川空港は楽しい

-1日目

出発する日。早朝に母が仕事場から帰ってきて、「これ入れなさい」「これ持っていきなさい」と大量の荷物を渡される。そしてまたすぐ仕事に向かっていった。私の母にはこういうところがある。昼過ぎ、父の車で空港まで送ってもらう。余裕を持って出たつもりが渋滞に巻き込まれる。違うルートで行こうとしたところ道を間違え、お互いがお互いのせいにして言い争いになる。なんとか仲直り(?)して、空港で別れる。見送りに来てくれた彼氏と合流して、フードコートでカレーとたこ焼きを食べる。話してたらすぐ時間になったので、保安検査場に向かった。号泣するかと思ったけど、半年も家族や友達や彼氏に会えないということがどんな感じか分かっていないのもあって、意外と泣かなかった。

往路はアシアナ航空で、19時ごろ乗り継ぎで韓国の仁川空港に到着した。短時間のフライトだったけどなんと機内食が出た。ちょっと辛い焼きそばみたいなやつに目玉焼きと小さいエビフライがのっていてとてもおいしかった。トランジットが15時間ほどあって、空港で寝ようか、ソウルまで出ようか、と色々考えたけど結局空港近くの雲西(ウンソ)というところで1泊した。これは空港へのアクセスや一晩で動ける範囲、ホテルの価格帯、自分の体力などを考えるとかなり正解だったので、同じような人はぜひ雲西に泊まったらいいと思う。駅前ではモーテルや飲食店のたくさんのネオンが夜中まで光っていて、ブレードランナーに出てくるあの街みたいだった。私はアジア人顔なので店員さんやフロントの方は韓国語で話しかけてくれたが、韓国語が一切わからなくて申し訳なかった。初めて自分は"外人"なんだーと思った。しばらく散歩した後、友達に教えてもらった店ではちみつ味のフライドチキンをテイクアウトしてホテルで食べた。ありえないくらい美味しかったけどありえないくらい量が多かったので、3分の2くらいまで食べて残りは朝食べることにした。朝からバタバタして疲れていたのですぐ寝た。

0日目

時間に余裕があったので空港内を散歩した。当たり前なのかもだけどあちこちでIVEやaespaやNewJeansの広告が流れていて感動。オリーブヤングでLAKAのティントを買って、シャルルドゴール行きのフライトに乗った。当初は真ん中の島のさらに真ん中の席だったが、突然おばちゃんに「代わってくれ」と言われ窓側の席になった。最後列の広めの席だったのでやったー♪と思っていたら隣がカップルで始終恋人繋ぎをしていたため8時間もトイレを我慢する羽目になった。それにしてもアシアナ航空は本当に機内食がおいしかった。1食目はサムパブ(葉野菜でお肉とごはんと合わせみそを包んで食べるやつ)。2食目はごはんにチャーシューと錦糸卵と高菜?が乗ってるやつとサラダとパンとケーキ。3食目は片手で食べられる小さいピザ。ひとりで14時間のフライトはかなり長かったけど、ごはんが美味しくてよかった。ここまでご飯の話しかしてないね。。映画は『BACK TO THE FUTURE』と『ミセス・ハリス、パリに行く』と『ケイコ、目を澄まして』を観て、それでも時間が余ったので数独をしたり寝たりしてやり過ごした。あまりにも時間が長く感じられて、着いてすらないのに「二度とヨーロッパには行きたくない」と思ってしまった。私は本当に落ち着きがない。

1日目

なんとかCDGに到着し、タクシーで寮まで向かった。20時台なのにまだ昼みたいに明るくて驚いた。迎えに来てくれた方曰く「フランスは時期によって日照時間がかなり違うから、今はとても天気が良くてみんなご機嫌だけど、秋にはみんなどんよりする」らしい。寮に到着して管理人の牧師さんと契約の確認をしたけど全く聞き取れない。管理人さんに「何を勉強するの?」と聞かれて、しどろもどろになりながら「主にフランス語を勉強しますが、哲学も勉強したいです」みたいなことを言ったら、「フランス哲学では何を勉強したいの?」と聞かれた。テンパって1ページも読んだことないのに「サルトルです」と言ったら、なんと管理人さんはフランス哲学で博士論文を書いていたらしく、「サルトルはヨーロッパをめちゃくちゃにした人物だよ」と笑顔で言われて血の気が引いた。ただとても優しい方だったので「フランス語が上達したら哲学の話をしよう」と言ってくれた。優しい。早くフランス語を話せるようになりたいしサルトルわかりたい。部屋に入って、シャワーを浴びて、すぐ寝た。