無駄も大事

先月は授業が毎日5時間あったけど、それは実は学校の手違いで実は私は1日2時間のコースだったらしい。そんなことある?ただでさえ時間があるのにさらに時間ができたので、今週はパリの学生街であるソルボンヌのあたりを歩いたり、植物園に行ったり、家の近くのマルシェに行ってみたりした。バカンス期間だからかどこも人が減っていて静かだった。

Kindleで本を何冊か読んだ。1冊目は『パリの砂漠、東京の蜃気楼』(金原ひとみ)。2冊目は『パリの国連で夢を食う』(川内有緒)、3冊目は『深夜特急6』(沢木耕太郎)。特に意図してなかったけどパリにゆかりのある作品ばかり読んでた。どの作品も、小さな思いつきや予想しない出会いで人生の進行方向が変わっていく瞬間が書かれていて面白かった。これは飲み屋さんで働くのが好きな理由でもあるけど、意図せずも変な人生になってしまった人の話を聞いたり読んだりするのって楽しい。深夜特急は受験生のころ図書館で読んで、あまりにも面白くて勉強そっちのけで全巻一気読みしてしまった思い出がある。当時、第一志望の大学に合格するには学力が足りず、かつ怠惰だったので、私は他の人よりも長く机に向かう必要があった。そこでスマホを家に置いて自習室に出来るだけ滞在するようにしたけど、それでも集中できなくて図書館の本や電子辞書に入ってる青空文庫を読みまくってた。大義名分のもと勉強から逃げられる娯楽がそれしかなかったのだ。YouTubeよりも活字を追う方が脳の知的な部分を使っている感覚があって、罪悪感もいくらかマシだった。大学受験という目標には全く関係ない無駄な時間だったけど、今思ったら旅行記を読んだことが遠くへ行くことの憧れになっていたり、小説で読んだ一節が記憶に残って、あるとき何かの思考と繋がったりして、ぜんぜん無駄ではなかったのかもしれない。皆みたいに友達作らなきゃ、何かをしなきゃという焦りで躍起になってたけど、今の余白が後々の伏線回収になるかもしれないし、何にもならなくてもそれはそれで話のネタになるし、あんまり焦らなくてもいいのかも…と思った。とりあえずは、真面目に勉強します。